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名古屋家庭裁判所岡崎支部 昭和63年(家)83号 審判

主文

本件申立てを却下する。

理由

1  本件記録によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)  申立人ら夫婦は昭和47年10月21日に婚姻したが、実子に恵まれず、昭和56年4月25日、事件本人米田裕子と養子縁組をなした。

(2)  事件本人山根千加子は申立外村田行男と婚姻していたものであるが、同人が他女と同棲し、昭和52年8月25日には事件本人山根千加子に無断で協議離婚届を提出した。しかし、事件本人山根千加子は村田行男が復縁するというので同人と関係を結び、順次、山根直也、事件本人米田裕子を懐妊分娩したが、結局村田行男とは復縁できなかつた。そして、村田行男は山根直也については認知したが、事件本人米田裕子については認知しなかつた。

(3)  その後、事件本人山根千加子は申立外生田敏典と再婚したが、再び同人とも昭和62年9月29日に協議離婚したが、同人との間に昭和58年1月28日に長男大介を、昭和60年2月1日には長女恵を儲けた。

(4)  そして、現在事件本人山根千加子は、生田敏典から財産分与を受けた家で、生命保険の外交員をしながら、直也(9歳)、大介(5歳)、恵(3歳)の三人の子供を養育しているが、申立人ら夫婦に事件本人米田裕子が養育出来ないような状況が生じたら、いつでも引き取る意思を有している。なお、申立人ら夫婦と事件本人山根千加子の居住地は同じ中学校の校区内にある。

以上の事実が認められるところ、上記認定事実によれば、現時点において事件本人山根千加子は事件本人米田裕子を手許に引き取つて養育監護することも充分可能であると思量されるから、本件は民法817条の7の「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合」には該当しないものである。

2  よつて、申立人らの本件特別養子縁組成立申立を却下することとし、主文のとおり審判する。

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